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今後の事業展開に向け、先行事例から学ぶ

高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に係る研修会 (令和2年1月29日)

  • 保健・施設

県内市町村の国保および高齢者医療制度、介護保険担当の事務職や保健師、栄養士などが参加

1月29日、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に係る研修会を国保会館で開催した。県内市町村の国保、高齢者医療制度および介護保険担当など、関係部署から約130人が出席した研修会では、神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部の田中和美教授を講師に迎え、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に関する講演が行われたほか、本会からKDBシステムの活用方法、岩手県後期高齢者医療広域連合から一体的実施に向けた今後の取組方法などを説明した。その後、事務職と専門職に分かれて、グループワークによる意見交換を行った。

講演 「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施における実際の取組み」

神奈川県立保健福祉大学
保健福祉学部 田中和美 先生

田中先生は、現在の政策の方向性について「今後、人口は急激に減少し、2100年には約4割が65歳以上になる可能性がある」とし、国は2040年に向けた介護予防・フレイル対策を含めた健康寿命延伸プランを策定し、取り組みを推進していることを説明した。
その上で、田中先生が神奈川県大和市で低栄養予防に取り組んだきっかけとして「高齢者の場合、BMIが標準(20.0~22.9)より低くなるにつれて死亡率は上がり、16.0未満の女性では標準の者より2.5倍の死亡率になるというデータがある。大和市でも“BMI18.5未満かつ半年の体重減少が2~3Kgの者”の3~4割は、1~2年後に要介護もしくは亡くなっていた」と述べ、低栄養予防対策の必要性を解説した。
なお、大和市ではBMIの他に体重減少の状況や基本チェックリストなどを基に対象者を選定し、訪問活動を行っており、体重減少の理由を把握した上で支援を行った結果、介入した者の80%以上で体重が維持もしくは1Kg以上増加した。
また、多くの自治体で課題となっている庁内連携についても触れ、「自治体としてのミッションを関係課と共有することが重要である」と述べ、大和市ではKDBシステムなどのデータを使用し、健康課題の見える化を進めた実例を説明した。
最後に「健診・医療・介護等、さまざまなデータをまとめると課題が見えてくるので、恐れずにまとめてほしい」と話した上で、「焦点を絞って取り組みを始めることが、成功につながる。大和市は過栄養の問題はあるものの、低栄養対策に絞って事業を開始した。一方で、目先のことだけにとらわれず大きな戦略を描くことも大事である。各部署と連携をし、市全体の取り組みにしていただきたい」と参加者にアドバイスした。

説明 「KDBシステムの活用方法」および「広域連合における高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の取組みについて」

本会からは、高齢者の保健事業における地域課題の把握、対象者の概数把握、対象者の把握の方法として、KDBシステムの「健康スコアリング機能」「高齢者の健診状況」「保健事業介入支援管理機能」を紹介した上で、本事業の目的や目標を意識しながら、データ分析を進めるよう話した。

事業実施に向けた現状と課題を話し合う参加者

続いて、岩手県後期高齢者医療広域連合の大内守人主任主査は、後期高齢者の質問票の取り扱いのほか、県内市町村における本事業の実施予定、交付金の交付基準の解釈などを解説した。その上で、「体制づくりに悩まれる市町村も多いが、国保・後期高齢・介護の連携については、一体的実施に向けた健康保険法等の改正において示されているとおり、自治体の状況に合わせて、関係課で連携しながら進めてほしい」と呼びかけた。

グループワーク 高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗状況と課題

出席者は事務職と専門職に分かれ、各市町村の進捗状況と課題について情報交換を行った。
グループワーク後の発表では、「“通いの場”でのハイリスクアプローチの注意点を教えてほしい」との質問があり、講師からは「体操などのプログラムもある中で、ハイリスクアプローチを行っていいのか、会場内に保健指導ができる場所があるのかなど、“通いの場”の責任者とまずは話をしてほしい」とアドバイスした。
そのほかに「庁内連携が課題である」「首長などトップの理解が本事業を進めるカギになる」との発表もあった。
最後に講師から「岩手県は熱心に取り組んでおり、進んでいると感じた。自信を持ってこのまま進めていただければ、住民が喜ぶ保健指導ができると思う」との助言が行われた。

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