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住民の命を守る保健事業の展開をめざして

第49回市町村保健事業担当者研修会 (令和元年10月31日)

  • 保健・施設

県内の市町村保健師や栄養士、国保担当者などが参加した市町村保健事業担当者研修会

10月31日、第49回市町村保健事業担当者研修会を国保会館で開催した。県内の市町村保健師や栄養士、国保担当者など約90人が出席した研修会では、大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学の野口緑招聘准教授を迎え、保健指導の考え方や関係機関との連携した保健事業の進め方について講演をいただいたほか、県内2地区の保健活動報告、グループワークによる意見交換を行った。

講演 「知見を踏まえた保健指導の基本的な考え方」

大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 野口 緑 先生

最初に、運動や減塩など、望ましいと言われている生活習慣は、循環器疾患対策に効果的であることを、データをもとに解説された。そして、「望ましい生活習慣を知っているだけでは、行動は変わらない」と話し、最大の課題は、望ましい生活習慣の実践であることを指摘した。
その上で、「住民が自ら改善方法を考え、行動するようになるためには、自分の身体に起こっている変化をイメージできることが重要」と述べ、対象者が自ら学び、自ら選択するための保健指導の必要性を訴えた。さらに、「大事なことは、保健指導の数ではない。確かな保健指導を丁寧にしていくことで、住民の命を守っていくことにつながる」と保健指導の目的を強調した。
また、データ分析について、「データは住民一人ひとりの結果で構成されており、地域の環境・社会経済要因を表している。データは、住民の生活、暮らし方、価値観を理解するために読み解き、課題の対応策を考える“アセスメント”のために使うものである」とした上で、「地域の健康課題は何か、何を解決しないと、住民の命を守れないのかを明確にしないと、PDCAサイクルは回せない。また、保健指導の優先順位も決められない。まずはターゲットとする疾病を明確にしてほしい」と助言した。

先駆的保健活動紹介 「官民連携・組織横断的な保健事業の進め方」

官民連携・組織横断的に保健事業を進めるためには、「集団データの意味を庁内、住民、企業と共有することが重要」と述べ、現在のデータが何を表しているのか、その中で問題は何か、その現象はなぜ起こっているのかを科学的根拠に基づいて読み取り、伝えることが重要であると説明した。その上で「データからそれぞれの立場で、“自分は何をしなければならないのか”を考えるよう、仕掛けることがカギである」と述べた。

保健活動紹介 2市町より事例報告(盛岡市・軽米町)

左)軽米町 山田里美 栄養士
右)盛岡市 鈴木咲希 保健師

盛岡市の鈴木咲希保健師は、中学生を対象に、乳幼児と触れ合う機会を設けて父性・母性を育む「ふれあい体験学習」について、効果と課題を報告した。

また、軽米町の山田栄養士は、軽米町における糖尿病重症化予防の取組みを報告。「飲食店での健康教室」では、利用した飲食店より「献立に野菜を多く取り入れ、塩分も控えるようになった」とコメントがあり、飲食店に対しても良い影響をもたらしたと述べた。

グループワーク これから私たちがしなければならないことを、優先順位をつけて考える

岩手医科大学衛生学公衆衛生学講座 佐々木亮平 助教

出席者は11班に分かれてグループワークを行った。各班からは「質の高い保健指導ができるよう勉強したい」「チーム内で職種を超えて目標設定の段階から共通認識を持ちたい」など、今後の保健事業の展開に向けた思いが語られた。
最後に、研修会をコーディネートした佐々木助教は「健康づくりや地域づくりにみんなで取り組むために、私たちにできることはまだまだある “できる人ができるときにできることをできるように”環境づくりやデータ活用などで仕掛け続けていこう」と呼び掛けた。

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